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YUKIHIRO TAKAHASHI:Power of simplicity | FEATURE | FIVEISM × THREE(ファイブイズム バイ スリー)公式ウェブサイト

YUKIHIRO TAKAHASHI:Power of simplicity

Five Roads#5

2020.3.10

唯一無二の独創性で人々にインスピレーションを与える人物。彼らは、FIVEISM ✕ THREEというブランドの在り方を体現している。FIVEISM ✕ THREEでは、そんな人物のことを“Ikon(アイコン)”と呼んでいる。たとえば日本が世界に誇るミュージシャン、高橋幸宏。1970年代から音楽シーンの真ん中を走り続け、いまもなお輝き続ける。常に自然体でありながら、そこには他の誰にも真似することのできないスタイルがある。自分は自分らしく。そんな“Power of simplicity”を感じさせる高橋が自身の生き様、哲学を語った。

彼には“飄々”という言葉がよく似合う。帽子をかぶり、トム・ブラウンのスーツに身を包んだ高橋幸宏は、飄々と、そして颯爽と丸の内の「VISIONARIUM THREE」に現れた。奥に向かって右側に「THREE」、左側に「FIVEISM」の商品が並ぶこのショップに彼が訪れるのは、これが初めてだ。 「FIVEISMが男性用でしょ。こんなにいろんな商品があるんだね。もし僕がいま若かったら喜んでこの店にきてメイクを楽しんでいたかもしれない(笑)」

高校在学中からスタジオ・ミュージシャンとして活躍していた高橋の“芸歴”は50年を超える。大学生でサディスティック・ミカ・バンドに加入し、20歳代ではYMOの一員として世界に衝撃を与え、YMO“散解”後もソロ活動と並行してさまざまなバンド、プロデューサーとして活躍。67歳となった現在でもMETAFIVEなどのバンドで“飄々”と音楽活動を続けている。 トレードマークは、ヒゲと眼鏡と帽子。見た目の印象はもう何十年も変わらないような気がする。

「よくそんなふうに言われるけどね、実際はかなり変わってますよ、当たり前だけど(笑)。自分の顔にはあまり興味ないけど、たまに鏡でちゃんと見ると『うわあ、年とったなあ』って思いますからね。肌の手入れは風呂上がりに化粧水とかクリームをつけるくらい。でも今日FIVEISMでメイクしてもらって、悪くないなと思いましたね。顔色のムラがなくなるし、でも不自然じゃない。スキンケアの控えめな香りも僕好みです。」

YMOはデビュー当初、その音楽はもちろんビジュアル面でも大いに注目を集めていた。当時の中国の人民服のようなファッションにしっかりとメイクをした3人の男。高橋はYMOのファッションを担当していたが、メイクについては坂本龍一がやりたいと言い出したという。

「YMOのファッションはどうやったら目立つかを考えて、人民服っぽいものを選んで、あえて中国のアーティストだと“誤解”させようとしたんですよ。初期はかなり濃いメイクをしていたよね。あれは教授(坂本)のアイデアだったんじゃないかな。彼は当時前衛的な舞台とかにも興味を持っていて、そういうメイクをしてみたかったんだと思う。細野(晴臣)さんはなんでも『いいよ』って言う人だから、化粧をすることになった。僕はね、本当はイヤだった。だって自分で鏡を見て、似合わねえなあって思うんだもの(笑)。でもあのヴィジュアルはかなりインパクトあったんじゃないかな。当時メイクをしていたのはグラムロックからの流れにいたデヴィッド・ボウイやブライアン・イーノとかくらいで、アジア人だとYMOだけだった。YMOがあんなに売れたのはそういう意図的だったり、意図的ではなかったりする誤解があったからだと思いますよ」

顔のメイクが終わると、爪にマニキュアを塗る。あえて1本だけ、自身がデザインを手がけるアイウェアブランド「YUKIHIRO TAKAHASHI EYEWEAR」のイメージカラー、ワインレッドとグレーをさり気なく。

「あ、この色はいいね。それに1本だけなら目立ちすぎないけど、個性を感じさせる。こういうマニキュアの使い方はいいかもしれない」

自分の顔は好きでも嫌いでもないという。それはいまそう思うのか? それとも若いころからそうだったのか?

「若いころはいろいろコンプレックスがあったような気がするけど、いつの間にかどうでもよくなった。でも、そういうコンプレックスはあったほうがいいと思うんだ。コンプレックスがないやつはつまんない。もっと背が高かったらなあとか、鼻筋が通ってたらなあとか、誰もが思うことかもしれないけど、そんなこと考えてもまったく意味ない(笑)。意味はないんだけど、そういうのを通り過ぎて、気がつけば自分を好きになって、自然体になっていく。そういう生き様が結局顔に出てくるんだと思いますよ」

見た目も、立ち居振る舞いも、紡がれる言葉の数々も、すべてから力が抜けていて、それでいて若々しく、さらに彼らしさが貫かれている。時代を超え、年齢を超え、なぜ高橋幸宏はいつまでも高橋幸宏らしくいられるのか。後編では、その飄々とした生き様、哲学にさらに迫った。

YUKIHIRO TAKAHASHI

1952年生まれ、東京都出身。立教高校在学中からスタジオ・ミュージシャンとして活躍。武蔵野美術大学短大時代に加藤和彦に誘われてサディスティック・ミカ・バンドに加入。1978年、細野晴臣、坂本龍一とともにYMOを結成。ソロとしては1978年の1stアルバム『Saravah!』以来、2013年の『LIFE ANEW』までに通算23枚のオリジナルアルバムを発表。2018年にはソロ活動40周年を記念し、1stアルバム『Saravah!』のヴォーカルをリテイクし、新たにミックスダウン&マスタリングを施した『Saravah Saravah!』を発表。ソロ活動と並行してTHE BEATNIKS、SKETCH SHOW、pupa、In Phase、METAFIVEなど様々なバンドでも活躍し、常に日本の音楽シーンをリードしてきた第一人者。自身のファッションブランドを立ち上げるなど、デザイナーとしての一面も持つ。

Staff credit

  • Photos:Yozo Yoshino
    Make:HIROKI@FIVEISM × THREE
    Direction & Text:Kosuke Kawakami