ATSUSHI: Self-expression

ATSUSHI: Self-expression

Five Roads #2

2019.12.10

[ATSUSHI (Dragon Ash メンバー、ダンサー)とRie Omoto (THREE、FIVEISM × THREEグローバル クリエイティブ ディレクター) の対談]
唯一無二の独創性で人々にインスピレーションを与える人物。
FIVEISM x THREE にとって、“Ikon (アイコン)” の名に相応しい人物のひとりが、パフォーマンスアーティストのATSUSHIだ。
Dragon Ashのメンバーとして、そしてソロダンサーとして、枠にとらわれない「Self-expression (自己表現 自分を偽りなく自由に表現すること、それを行う勇気)」に挑んできた彼が、いかにして固定観念を超えてきたのか。その秘訣を、FIVEISM x THREE のクリエイティブディレクターRie Omotoとの対談で引き続き紐解いていこう。

FIVEISM × THREE(以下:F):自己表現することに加え、それを継続していくことはさらに忍耐力が必要な作業です。日常生活の中で、新鮮なアイデアやダンスの動きを生み出す秘訣は何でしょう?

ATSUSHI(以下:A):日常の中の極めてシンプルな動きにインスピレーションを受けます。概念的な話になってしまいますが、自分のアイデンティティを深く洞察すること。限界に挑戦すること。バランスとタイミングを大切にすること。そして自分を解放して、自由になること。これら全てが、パフォーマンスの新しいアイデアに繋がります。自由への探索、これが自分を突き動かすモチベーションの大半を占めています。それ以外にモチベーションがあるとすれば、ダンスシーン全般に言えること。日本人のモダンダンサーとしてキャリアを確立させた人が、これまで少なかった。だからこそ、自分がそのパイオニアの1人になって、その可能性を証明したかった。日常生活、とは少し話が違うかもしれませんが、旅をすることでインスピレーションが湧くこともあります。新幹線であろうと、TGV (注釈1) でフランスを縦断している時であろうと、美しいものは世界中どこにでも存在します。
*1 :フランスの高速列車

F:ATSUSHIさんにとっての“Ikon (アイコン)”は誰ですか?インスピレーションを受ける人、もしくはこうなりたいと思う人はいますか?

A:他の誰かみたいになろう、としたことはありません。いつも、オリジナルでありたい、パイオニアになりたい、唯一無二の存在になりたいと思ってやってきました。成長して、もっと自分自身や自分のアイデンティティについて知ることで、他の人が歩んだ道をそのまま辿るようなことはしないように、そうではなくて、自分自身のスタイルやヴィジョンを追い求め続けるようにしてきました。影響を受けた人はいますし、先人をとてもリスペクトしています。そういう人たちとの出会いでインスパイアされましたし、感動して、もっと頑張ろう、ちゃんと自分の道を歩もう、という励みになりました。モダンダンスの礎を築いたピナ・バウシュのパフォーマンスを生で見たときは本当に感動して、ずっと涙が止まりませんでした。舞踏の大野一雄さんの踊りにも、同じくらい感動しました。他にも、聖徳太子とかチェ・ゲバラのような、世界を変えたリーダーたちにも勇気をもらいましたし、ビョークとシガーロスの音楽を聴いて影響も受けました。彼女たちの音楽と触れ、アイスランドでパフォーマンスをしてみたいと思うようになりました。

F:ところでお二人とも個性や自己表現の1つとしてタトゥーを入れていらっしゃると思いますが、その意味や想いはどのようなものでしょうか?

A:タトゥーは自己表現のために入れました。賛否両論あるとは思いますが、日本文化のアイデンティティだと思っていて、世界にシェアしたいものの一つなので。初めて入れたのは、自分のパフォーマンスを上げて、美的により面白いものにするためでした。左腕に7頭の龍がいて、Dragon Ashのメンバー分の数の龍が入っています。最初は1頭だけ入っていたんですが、あるメンバーからメンバー分の数を入れたらと言われ、7頭入れることにしました。他のタトゥーも全て意味を込めて入れています。タトゥーがタブーだとは思っていませんでしたね。当時は、海外のバレリーナやダンサーでタトゥーを入っている人は少ないと感じたので、日本人ダンサーとして、タトゥーを入れることが自己表現の1つとしてアイデンティティにしていました。そうすることで、他の人との違いを表現する助けになっていたと思います。タトゥーを入れたことで、本当にプロダンサーになるんだと言う決意も強まりました。実際、その後ずっとやめずにここまできています。絶対に成功しないと!と思っていたので。もちろん周りの皆さんの理解があってからこそです。

Rie Omoto(以下:R):私は田舎で育ったので、タトゥーはもちろん良しとされませんでした。そんな保守的な社会に対するアンチテーゼとしてタトゥーを捉えていました。ロンドンでの生活が長かったということも関係しています。タトゥーをタブーだと感じたことはありません。自身を表す身にまとうことができる、アート表現であり、Individualty=自己表現(個性)の1つであると思っております。

A:東京オリンピックの開催も近づいてきましたね。海外から多くの外国人が日本に来ると思います。海外に行くと、多くの外国の人に、日本のタトゥーは本当にかっこいい、日本の文化だと、よく言われます。海外の方が、タトゥーに関しての考え方がオープンかもしれませんね。日本の今のタトゥーに対するスタンスに関しては、あくまで個人の責任問題だと思うので、若者のムードもしっかりと認識することが必要かもしれませんね。

F:FIVEISMはより多くの人たちが自由に自分を表現する手助けをすること。それについて、ATSUSHIさんからメッセージを頂けますか?

A:Rieさんが思い描く、FIVEISMのフィロソフィーには強く共感します。私が大好きな言葉に、唯一無二という四字熟語があります。これはまさしく、FIVEISMが掲げる“Ikon (アイコン)”と同義といえるのではないでしょうか。私からのメッセージは、極めてシンプルです。挑戦し続けること。鍛錬を積むこと。謙虚であること。尊敬を絶やさないこと。感情に正直であること。そして何より大切なのが、あらゆることに対してベストを尽くし、自分らしくあること。そしてもちろん、周りの人に対する思いやりを欠かさないこと。皆さんのサポートに心から感謝しています。「I love you all!!!」

ATSUSHI

1996年にダンスを始め、様々なクラブ等でのイベントに出演。
2001年にDragon Ashサポートメンバーとなり、2003年にDragon Ash正式加入。
2006年にソロダンサーとしても国内外の各地で活動開始。 今までの様々なステージで得た経験により、ジャンルや枠にとらわれない踊りと体をいかしたダイナミックな踊りを信条とし、今日のダンサーの在り方を変えることを目指していると共に、日本人ダンサーとしての在り方を常に考えながら活動している。 東日本大震災から、1年間で50回以上被災地へ足を運び支援活動を続け、現地との交流を深め、「GAMA ROCK FES」を毎年開催